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ゼロからピザ窯作っちゃいました!!~制作編~
こんにちは。
最近、鮭とばの美味しさに気づいたコモリバの久保です。
いきなり過去にさかのぼりますが、あれは忘れもしない去年の夏のこと。
コモリバスタッフの福田さんが決意の眼差しでやってきました。
「ちょっと今お話いいですか!?」
「え、はい。何でしょうか…?
(やべー、なんか俺やらかしたかなー?あれかな、ヤギのヘルマさんにエサをあげ忘れてちゃったやつかな。。あでもあれはしょうがなかったんだ、だってその時に宅急便の配達があ
「…ピザ窯、作りたいっす!」
誰もが一度は夢見る「ピザ窯」。
悠々自適な田舎暮らしに欠かせないアイテム…!
庭にあるだけで、こだわりの深さが醸し出されるスペシャルでオシャンなプロダクツ…!それをコモリバに…?
「それは製品を買うってこと?」
「いいえ違います!自作するんです!」
「それはちょっと大変なんじゃ…
「設計図も、書いてきたんで!!」
「是非にッ!!」
熱い心、確かに伝わったァ!!
やってみようじゃねぇか!そしてみんなで旨いピザを食おうじゃねぇか!!!
即答して始まったピザ窯づくり。
今回は誰も知識がない手探り状態からスタートした、セメントとレンガとの格闘の記録をお送りします!
今回作ったピザ窯
そもそもピザ窯は窯を熱し目標の温度になったら、燃えている炭などを掻き出して余熱で焼き上げるスタイルが一般的。
窯が一室のものがスタンダードなのですが、今回手がけたのは2層式と呼ばれるもので、天板の下に薪をくべる場所があり、熱気が窯内を通過しながら焼き上げる、連続使用ができる本格派のもの。そのため構造も少し複雑になります。
しくみはこんな感じ。
また福田さんが書いてきてくれた設計図はこんな感じです。
これをゼロから作ってしまおうというのが今回の計画。
本当に出来るのか…??
とにもかくにも、まずは道具と材料を揃えないといけません。
道具と材料
実際に使ったものは以下の通り。
意外と材料はシンプルで、ホームセンターや通販で比較的簡単に手に入ります。
それでは早速作っていきましょう!
基礎作り
が、その前に。
地面が斜めなので、まず水平な基礎を作ります。
本当にゼロから始めます。
「マジでそこからやるのか…!」と驚きました。
福田さんと一緒にいるのは、ピザ窯づくりを確かな技術力でサポートし続けてくれたコモリバ職人の根岸さんです。
木材で枠を作り、自作したコンクリートを流し込んで固めます。
ちなみにコンクリってホームセンターで売っている材料で簡単に(?)自作できるの、皆さんご存知でしたか? 僕は知りませんでした。
必要な材料はセメントの粉・砂・砂利・水のみ。
大体比率はセメントの粉:水=7:3くらい。
混ぜ合わせると化学反応が起き、どんどん勝手に固まっていきます。
意外とお手軽なセメントの歴史は古く、なんと古代ローマ時代から使われてきたというから驚きです。
この状態(セメント)でもいいのですが、より強度を出すために砂を混ぜると「モルタル」へ、また乾燥時に縮まないために砂利を加えると「コンクリート」になっていきます。
セメント→モルタル→コンクリの順で強度も重さもどんどん増していきます。ポ〇モンの進化系のようですね。
以下に簡単にまとめてみましたので参考にして下さい!
混ぜている様子はこんな感じ。
水の加減と配合比で硬化時間や強度が変わります。
だいたいソフトクリームくらいの柔らかさにするのが一つの目安ですが、水平を取っていくときにはある程度水を多くし緩めの状態で流し込むことで重力で自然と水平になるという仕組み。
乾いて固まったら枠を外し、土台作りに移ります。
※撮影者の久保はコンクリが自作できることに大興奮し、自分でコモリバの敷地内に階段を作ってしまいました。
土台作り
季節は流れてもうすぐ秋。
軽量ブロックを組んで土台を作り、その上にレンガでピザ窯を組んでいくのですが、めちゃ大きな重量がかかるので、強度を高めるため、またブロック同士がずれないように、鉄筋を差し込んで一緒に固めていきます。
みなさん、いわゆるこれが「鉄筋コンクリート」です。
コンクリがポケモンの最終進化系だとすると、鉄筋コンクリートは「進化を超えた進化」、すなわちメガシンカと言っても過言ではありません。
この素材の発明が人類史に与えた影響は計り知れず、その魅力が本当に凄いのでちょっと語らせてください。
コンクリートの凄さ
コンクリは圧縮には強いが引張には弱いという特徴があります。一方鉄筋は圧縮には弱いが引張には強い。
この2つの素材を合わせて使うことで、お互いの弱点を補い合い、圧縮力・引張力ともに高く、多少破壊されても崩壊しない強度を持った素材(しかも造作の自由度が高い!)が爆誕するのです。
しかも!鉄は錆びて弱くなってしまうのですが、コンクリートは高アルカリ性のため、鉄はコンクリ内に埋め込まれることで長期間錆から守られることになり、化学的にも高い耐久性をキープし続けることができるのです。
さらに安くて経済的。強くて簡単でお財布にも優しい。まさにスーパーヒーロー。鉄筋コンクリって凄い。鉄筋コンクリ万歳。
…ちなみに最終的に数えましたら、レンガは185個使っていました。
一個のレンガの重さは約4kg。よって土台は約740kg以上の重さに耐えられる強度が必要です。740kgて。
ざっとフタコブラクダ1頭くらい。ダイハツのミラ以上の重さです。ヤバすぎ。
コモリバの筋肉担当のOGIさんがちょっかいを出していますね。
優しく見守ってあげましょう。
ピザ窯下部
11月~1月、土台が完成し、ピザ窯のレンガ積みが始まりました。
ここで使うレンガは「耐火レンガ」という少し特殊なもの。また組む際に使うモルタルも「耐火モルタル」という高温に耐えられるものを使っていきます。
ピザを焼く場合、大体400~500度が美味しくできる温度帯。
しかし通常のレンガは200度を超える環境では劣化して割れてしまうため石窯には向きません。
そこで登場するのが耐火レンガ。大体これは1350度くらいまで耐えられるもので、値段がめちゃ高です。普通のレンガの3倍くらいします。
これを一個一個水平を確認しながらモルタルで接着していきます。
埼玉とは言え、かなり冷え込む中での水と重量を扱う作業はかなり重労働。
時には雨が降り出すことも。
よく頑張りましたマジで。
ちなみにこれが耐火モルタルと耐火レンガ。
途中で足りなくなって何度もホームセンターに買いに走ったり、金額におののきながらAmazonの発注ボタンを押したのはいい思い出です。
時には配置を合わせるためにレンガを「割る」ことも。
レンガタガネと呼ばれる道具をあてがい、ハンマーで刻みを入れていくことで割ることができます。私も何度かやりましたがなかなかコツがいる作業でした。ダビデ像とか彫ってたミケランジェロとか、こんな感じだったのかな、だとしたら腕とかめっちゃムキムキだったんだろうな、とかそんなことばっかり考えてました。
ピザ窯上部
季節が巡って2020年春になりました。
いよいよ焼き床の制作に入ります。
屋根はやっぱり丸くしたいということで台形の耐火レンガをどんどん積んでいきます。
そういう用途のレンガがちゃんと売っているのだから驚きですね。
レンガだけで積んでいく方法もありますが、精度が不安だったので写真のようにアーチ状の木製型を自作して使いました。これは根岸さんが作ってくれたもの。
モルタルを塗って、
レンガを乗せて、
水平を取って、
余分なモルタルをぬぐって整えて、、
これを地道に繰り返して少しずつ積み上げていきます。
もたもたしているとモルタルがどんどん固まってしまうので、レンガ積みはある意味時間との闘い。
なかなか隙間に入らないモルタルは細い棒で突っつきながら入れていきます。
これがなかなか入らずに悶絶すること多々。
注)写真で福田さんはやりやすさ重視で素手で作業をしていますが、上でも書いたようにモルタルは高アルカリ性。手袋推奨、ケアをしないと手が荒れてしまいますので気を付けて!
煙突部分
そして5月に入りいよいよ煙突部分に突入!
高さを3段にするか4段にするかでめちゃ悩む福田さんです。
積んで、積んで、
そして、、、ついに、、、
煙突完成!!
後はアーチ型を抜いて奥を塞ぎ、
レンガを割りながらパズルのように前側の穴も埋めていき、、
ようやく……
完成です!!
☆☆おめでとう!!!☆☆
雨の日も風の日も日照りの日もひたすらにセメントを練り、レンガを積んだ集大成。
そもそもの基礎から作るという度肝を抜いた制作プラン。
本当にゼロの状態から完成させてくれた福田さん、また一緒に手伝ってくれたスタッフの皆さんに感謝です!
―ついに完成しましたね!どうでしたか?
福田さん「はい。本っっ等に大変でした。やらなきゃよかったって途中何度も思いました(笑)」
―一番難しかったのはどこですか?
「全部ですね!周りの誰もピザ窯を作ったことがないので、正解かどうかも分からなくて。初めてセメント練りましたし。もう一度作りたいかといわれると正直微妙です!でも全体を通して楽しかったですね。」
―これからピザ窯を作ってみようという方に何かアドバイスはありますか?
「うーーーーん………あ、決して無理はしないように、ですかね★」
―ありがとうございました!
ついに完成したピザ窯、しかし、すぐに焼けるわけではありません。
弱火で火入れをし、慣らし運転をして、ようやくピザが焼けるというのです。
一体どんな味なのでしょうか?というかそもそも本当にピザは焼けるのか??
次回、初火入れ編に続きます!こうご期待!